モデルマウスで自閉症のメカニズムを探れ

モデルマウスで自閉症のメカニズムを探れ

自閉スペクトラム症とは

自閉症(自閉スペクトラム症)は、社会的なコミュニケーションの難しさ、強いこだわり、同じ動作を繰り返す常同反復行動などを特徴とする発達障害の一つです。自閉症には、脳の発達に重要な役割を担うSHANK3という遺伝子の異常が関係しています。そこで、遺伝子改変技術でSHANK3を欠損させたマウスをつくり、その神経回路や行動の研究が行われています。

初対面同士のマウスはどうする?

SHANK3を欠損させた自閉症のモデルマウスは、個体ごとに非常に個性的で、普通のマウスとは違った行動を示します。マウスの社会性を調べるテストの一つに、互いに知らないマウス同士を会わせる対面試験があります。
マウスは通常、鼻やひげで触れて相手を認識し合います。対して、SHANK3欠損マウスは全く相手に近寄らなかったり、逆に相手を抱え込んでしまったりといった異なる反応を見せるのです。これは自閉症の特徴である、社会性に関する特性の現れだといえます。
また、SHANK3欠損マウスは過剰なグルーミング(毛づくろい)をすることが共通して報告されており、自閉症の特徴である強いこだわりや常同反復行動にあたるのではないかと考えられています。

ストレスの影響を記録・解析

自閉症の患者に常同反復行動が現れるのは、人間関係の問題や環境の変化などのストレスが一因だと推測されていますが、個人差があり、臨床現場では試行錯誤しながら行動療法が行われています。こうした状況を改善しようと、SHANK3欠損マウスにストレスを与え、その後のグルーミング行動にどのような変化が生じるのかが調べられています。
マウスは夜行性なので、マウスの自然な様子を知るには夜間の観察が必要です。そこで夜間にビデオカメラで撮影し、その映像からグルーミングの回数などを解析するAIの開発が進められています。ストレスと常同反復行動の生物学的な関係の解明は、自閉症の診断法や治療法につながると期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 理工学部 総合理工学科 環境バイオテクノロジーコース 教授 内野 茂夫 先生

帝京大学 理工学部 総合理工学科 環境バイオテクノロジーコース 教授 内野 茂夫 先生

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分子生物学、神経科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私たちの研究室では、自閉症のモデルマウスが持つ強い個性がどのように生まれるのかを明らかにする研究に取り組んでいます。残念ながら今の人間社会では、自閉症というとても強い個性を持った人たちが学校の集団生活などに適応するのは難しく、本人や家族は苦労しています。こうした人たちのサポートやケアにつなげることを目標に、モデルマウスを使ってさまざまな行動解析の実験や脳の組織解析、分子発現解析を行い、また情報科学・AIの技術も取り入れながら、総合的に研究を行っています。

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帝京大学 宇都宮キャンパスは栃木県宇都宮市の北西部の高台にあるキャンパスで、理工学部の4学科(機械・精密システム工学科、航空宇宙工学科、情報電子工学科、バイオサイエンス学科)をはじめとして、医療技術学部柔道整復学科、経済学部地域経済学科が開設され現在は文系・医療系・理工系を擁するミニ総合キャンパスとなっております。それぞれの学問領域で交流を図りながら各分野のスペシャリストとして、将来、さまざまな分野の核として、地域に貢献できる人材を育成します。